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※下記はベンチャー通信24号(2007年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
 

―話は変わりますが、ソフトバンクの孫社長については、どう思われますか?

北尾:天才だと思いますよ。孫さんの集中力は本当にスゴイ。でも、天才が最後まで生き残るかどうかは分かりません。経営者は晩年に老醜をさらしてはいけませんから、「足るを知る」ということが大事だと思います。僕が野村證券を辞めてソフトバンクに行くと決めた時に、僕が尊敬しているイトーヨーカ堂の創業者、伊藤雅俊さんのところに報告に行ったんです。そしたら、まず伊藤さんに「北尾君が辞めたら、野村證券に誰がいるというんだ」って言われました。
 しばらく沈黙した後に続けて、「で、どこに行くの」と聞かれたんで、「ソフトバンクという会社に行こうと思っています」と僕は言いました。それを聞いた伊藤さんは、「あっ、孫君のところか。それならいいね」と。「ご存知なんですか?」と聞くと、「孫君は天才だよ。でも、重大な欠陥があるんだよ」と伊藤さんが言う。

 僕は思わず、「欠陥とは何でしょうか?」と聞きました。そして伊藤さんは、「孫君は事業欲が強すぎるんだよ」と言われたんです。さらに「まあ、北尾君なら孫君を止めることができるかもしれない。いいコンビになるよ」とも言われました。はじめ伊藤さんが言われる「事業欲が強すぎる」の意味がよく分かりませんでしたが、入社して2ヶ月もしないうちにその意味が分かりましたね(笑)。さすが伊藤さんです。その慧眼には驚きました。ダイエー創業者の中内さんもそうでしたが、どんなに商売の天才でも、事業欲が強すぎて、晩年まで事業をして失敗するケースもある。孫さんも“止まるを知る”、“足るを知る”ということが鍵になると思いますね。  

―最後に若い読者にメッセージを下さい。

北尾:まずは人間学を学んで、徳を積んでほしい。そして奥深い人間になってください。せっかくこの世に生まれてきたのだから、自分自身の成功のためだけに生きるのではなく、世のため人のためという“志”を持ってほしい。最近ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットなどのアメリカの実業家が、莫大な額の個人資産を慈善事業に寄付することを決めました。日本の起業家も、これを見習ってほしいと思いますね。
  
プロフィール

1951年、兵庫県神戸市生まれ。74年、慶応義塾大学経済学部卒業、野村証券入社。ケンブリッジ大学経済学部へ留学後、世界を舞台に活躍。また企業のM&Aや株式公開などに腕をふるう。95年、孫正義社長に招へいされ、ソフトバンクに常務取締役として入社し、ソフトバンクグループの急成長を支える。2005年、ソフトバンク取締役を退任。現在は、SBIホールディングスの代表取締役CEO。

 

会社概要

◆設立/平成11年7月8日
◆資本金/542億2,910万9,209円
◆事業内容/株式等の保有を通じた企業グループの統括・運営等
◆従業員数/1,375名(連結ベース:2006年9月30日現在)

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