※下記はベンチャー通信10号(2004年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
―最後に起業家を目指す若者にメッセージを下さい。
鬼塚:ベンチャーベンチャーって言うけど、ただの金儲けのベンチャーじゃダメ。自分が起こすベンチャーによって、社会がどんな恩恵を受けるのか。それが非常に大事。間違った考え方では必ず失敗する。人が協力しなくなる。人も助けてくれなくなる。目標を正しい方向に定めて、自分の全知全能を使い、多くの人を幸せにする道を選ぶことです。利己主義では、絶対にダメです。それとベンチャーは、ひと真似は絶対にしてはいけない。自分の独特の技を極めるべきです。また大企業がやらない分野を、ベンチャーがやる。大企業は、市場の中で網の目のごとくシェアを広げている。しかし、そんな網の目の中にも、必ず隙間があるんです。その隙間をベンチャーが狙っていく。これを隙間商法と言うんです。
僕自身は、「オニツカ式キリモミ商法」って言ってるんだけど、市場の中のある一点に集中して、掘り下げていく。ただ一つだけでいい。その一点に集中して、その消費者に合う商品を開発していくんです。あれもこれもでは、大企業には勝てない。バスケットシューズだったら、バスケットシューズだけ。そこに一点集中する。これがベンチャーの成功の決め手です。
それともう一つ大事なのが、「頂上作戦」。これは何かというと、ある商品を開発するときに、まず消費者のトップ層をターゲットにすること。例えば、バスケットシューズを開発するなら、バスケットのトップレベルの選手のニーズを徹底して調査する。とことんニーズを汲み取って、技術を開発し、商品化する。
そうすると、そのトップ層の選手の動向を気にしている第二層、つまりイノベーター層が真似をして、その商品を買うようになる。今度はその下の中間層も、それに追随する。そうやって、その商品は市場に浸透するんです。
つまり、「オニツカ式キリモミ商法」で市場の一点に集中し、「頂上作戦」でトップ層の消費者に訴えかける。これがベンチャーの攻め方です。でも、もちろんテクニックだけでは、ベンチャーは成功しません。そこに創業者の情熱がなくてはいけない。情熱を持ちながら、忍耐強く続けること。また、失敗しても、そこで終わらせてはいけない。失敗は成功の母。失敗を糧に、次の目標に向かっていく。あと忘れてはいけないのが、健康です。どんなに忍耐力があっても、病気になってしまえば、事業は興せない。神様は、みんなに平等にチャンスを与えてくれています。素直な心を大事にして、何でもチャレンジしていけば、おのずと道は開けていきます。みなさんの成功を私も願っています。頑張ってください。
- ■プロフィール
-
1918年(大正7年)鳥取県生まれ。昭和11年、旧制鳥取第一中学校を卒業。軍隊生活を経て、昭和24年、スポーツシューズ製造会社の「オニツカ㈱」を興す。その後、いくたびかの試練を経ながらも拡大を続け、昭和52年、同社を中核に3社が合併して「株式会社アシックス」を発足、社長に就任。同社をシューズ、ウェアをはじめとした総合スポーツ用品の世界的メーカーに育て上げた。現在、同社取締役会長。他には、世界スポーツ用品工業連盟終身名誉会長(三代目、六代目会長)。(社)スポーツ産業団体連合会会長、(社)日本スポーツ用品工業協会名誉会長(二代目会長)、(財)日本発明振興協会会長などの要職にも就いている。

◆創業/昭和24年9月1日
◆資本金/239億7,200万円(平成15年3月31日現在)
◆連結売上高/1356億円(平成15年3月期実績)
◆従業員数/単独1,242人・グループ4,700人 (平成15年3月31日現在)
◆関係会社/国内:14社(製造会社4社、販売会社5社、製造販売会社3社、その他2社)海外:15社
◆事業内容/各種スポーツ用品および各種レジャー用品の製造および販売
※このサイトは、取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。
ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(株式会社幕末)は何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携などを行ってください。くれぐれも慎重にご判断ください。
株式会社幕末