社会貢献なきベンチャーはベンチャーにあらず!

※下記はベンチャー通信第14号(2005年7月)から抜粋し、記事は取材時のものです。
 

―起業家や経営者に向き、不向きはありますか?

牧野:あると思います。まず自分が起業家に向いているのかどうか、じっくり考える必要がある。起業家に向いているタイプの人は、次々と起こる前例がない難題を、自分自身の発想力で解決していく「クリエイティビティ型」の人材です。でも、こういう人は全体の1割もいないと思う。それ以外の人は、だいたい「組織型」で、組織の中で問題を解決していくタイプです。このタイプはサラリーマンという立場で、組織の中で実力を発揮したほうがいい。ただし、自分が向いているからと言って、目的もないのに起業する必要はありません。

―起業家を目指す人に言いたいことはありますか?

牧野:よく「起業家になりたい」、「すぐにでも起業したい」という人がいるけど、正直に言うと、なぜそれほど起業家になりたいのかよく分からない。そんな人に理由を聞くと、ほとんどが「もっと自由になりたい」、「人に使われるのが嫌だ」と答える。でも、そんなことを考える人は起業家には絶対になれない。間違いなく無理です。なぜなら、経営者は全然自由じゃないから。経営者は全部自分で勝ち取っていかなくてはならい。なおかつ自分で勝ち取ったものを人に与えていかなければいけない。だから自分の自由なんて全くない。サラリーマンで出世した方がよっぽど自由ですよ。会社の中で実績をあげれば、「会社にとって大切な人材」「戦力」として周囲が認めてくれる。そうなればわがままが通りやすくなる。
 次に、起業云々の前になぜ起業したいのか、起業の目的について考えてみて欲しい。起業には目的が大切です。僕はビジネスチャンスという言葉も、そんなものを見つけようと躍起になっている人間も嫌いです。チャンスだというなら、みんなに教えてやればいい。お金が欲しいとか自己中心的な思いで起業をするのは、ただの個人商店でしかない。本来、起業というものは、社会貢献の為にするべきです。社会の為を考えると誰かがするべきなのに誰もしていない、自分が起業しなかったら、社会が 5年、10年遅れてしまう、そういう起業をすべきなんです。そして、後から振り返ってみたら結果的にビジネスチャンスだった。それが、ベンチャーなのです。例えば、松下電器創業者の松下幸之助は、「人々が安くて簡単に電気製品を使えるようにしたい。水道の水と同じように電気製品を使用してもらえるようにしたい」という水道哲学を持っていた。その哲学に賛同して優秀な人材が集まって、大事業を成し遂げることができたんです。

―自分がどのタイプなのか、どうやって見極めるんですか?

牧野:小学生時代を思い出してください。「成績は良かったけれど、なんともいえない違和感があった」。そんな人はクリエイティビティ型の人が多い。居心地が悪いのは、自分のクリエイティビティをもてあましているから。このタイプの人はもっと難易度の高い仕事に就くべきです。  誰から見ても「できそうもない」仕事を選び、次々と問題が起こるような環境に身を投じるべきです。そして、社会の矛盾や問題点を見つけて、自分以外に誰も解決する人間がいないと思ったら、そのときが起業する時です。社会に貢献するため立ち上がろうと決心して、初めて起業を考えるべきです。
  
プロフィール

1963年兵庫県生まれ。83年4月建設会社に入社。入社後1年半でソフトウエア会社に転職。大手コンピュータ関連会社に出向し7年半をシステムコンサルタントとして過ごす。94年10月、日本製の業務パッケージソフトの開発プロジェクトを発足させる。96年7月ワークスアプリケーションズを設立。代表取締役に就任。2001年12月JASDAQ市場に上場。2005年2月、プロの経営者を養成するため「一人シリコンバレープロジェクト」を開始。

 

会社概要

◆資本金/3,272,006千円
◆設立/1996年7月
◆事業内容/大手企業向けERPパッケージシステム「COMPANY」の開発・販売・サポート

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